昨今飲食店の集客にもメルマガが活用されるようになっていますが、そうなる以前からメルマガはマーケティングツールとして古いと言われ続けています。ですが、本当にそうでしょうか。

「メルマガ? もう効果ないでしょ」
「これからはソーシャルメディアの時代だよ」
「そもそもいまの時代、メルマガなんてだれも読まないよ」

10年前からそのようなことが言われています。あなたもメールボックスを開いている時間よりも、FacebookやTwitter、LINEを眺めている時間のほうが長いですよね。

そう考えると、「メルマガは古い、効果がない」 という主張は正論のように聞こえます。しかし、それは事実とは言い難いものです。むしろメルマガはいまも効果が健在だということを本稿でお話したいと思います。

事実:メルマガはいまも効果絶大

Eメールは、原始的なツールだから古い、というイメージがあるかもしれません、それはただのイメージにすぎません。新しいデジタルツールやSNSなど、流行り物の影に隠れつつありますが、メールマガジンもリアルのDM(ダイレクトメール)を除けば、強力な販促ツールで有り続けています。

ソーシャルメディアとメルマガの比較

ソーシャルメディア全盛の時代では、メルマガはもう古いというのが一般的な見方です。しかしデータを見ると、完全な嘘だとわかります。

Eメールは最もROI(投資対効果)が高い

出典: The New Rules of Email Marketing
https://www.campaignmonitor.com/resources/guides/email-marketing-new-rules/

このように、メルマガは最も投資対効果(ROI)が高いという結果が出ています。ソーシャルを遥かに凌駕しています。

顧客獲得効果はEメールがソーシャルを40倍上回る

こちらは顧客獲得への貢献度。なんと、メルマガはソーシャルの40倍。40%ではなく、40倍です。完全に圧倒する数値が出ているのです。

少し古いデータのため、状況は今と変わってきているはずですが、日本のEC市場は英語圏より10年遅れている点を考慮すると2020年現在でも無視できないデータであることは明らかでしょう。少なくともあらゆるメディアを活用してきた私たちの実感に限りなく近い数値です。

もう一つ、データを見てみましょう。

顧客との関係維持に最も効果があるのはEメール

出典: https://www.extole.com/wp-content/uploads/2015/03/Gigaom-and-Extole-Research.pdf

顧客との関係維持に最も効果があるのはメルマガ、というデータが出ています。「もう読まれない」 と散々いわれているメルマガが、顧客との関係性を維持するのに最適なメディアだということです。

けっきょく、新しいテクノロジーやメディアだからといって、効果があるわけではありません。同様に、昔から使われているメディアだからといって、効果がないということはありません。

メルマガは当分の間、ネット販促におけるキング・オブ・メディアで有り続ける可能性があります。

顧客の購買行動を促すメディアか、という視点

ツイッターやインスタグラムのようなSNSは基本的にオープンなメディアです。オープンであるために、より多くの人々にメッセージを届けることができるのも特徴です。また、双方向にオープンなコミュニケーションができるため、開放されたゆるいコミュニティが形成される傾向にあります。コミュニティを上手に利用することで認知度や拡散力を向上させることができます。それは一方で炎上を生む要因ともなっています。

そうしたSNSの特徴を踏まえ、実際に購買行動に繋がっているかという観点も忘れてはなりません。SNSでは直接的なPR活動は受けない傾向にあるため、別角度からのアプローチが必要になります。ざっくりとした表現になりますが、マーケティングの入り口をSNSにしたとしても結局はよりクローズドで有益な議論が出来る場で顧客との関係性を持つ必要があります。

その1つがメルマガなのです。

なぜメルマガが顧客の購買行動を促せるメディアかというと、長文でもじっくり読んでもらえるメディアだからです。広告の観点から言いますと、引きの強弱は販促メディアを選択する際に重要な判断材料です。もちろん、これはSNSには欠けている特徴と言えます。

AmazonやAppleなどの巨大企業も毎日メールを配信している

メルマガが活用されていることはGafaなどの巨大企業を見ても分かります。Amazonではユーザーの購買傾向に基づいたパーソナルなメルマガが配信されていますが、配信に一定のコストが掛かるにも関わらず実行されているのはメールマガジンの効果が実証されているからです。

メルマガは毎号開封されるものではありませんが、気になるタイトルが来たときや読者が暇を持て余しているときなど、色んな状況が重なって定期的に開封される特徴もあり、決して読まれないわけではないのです。

もちろん、発行者が毎回おもしろいメルマガを届けているのであれば開封率も上がります。企業が発行する宣伝メールではどうしても開封率は低くなりがちですが、配信にかかるコストと天秤にかけてどうか、という視点で考えれば、有効なツールとして十分機能するものなのです。

Eメールはセントラルな存在になっている

もう1つ、Eメールがネットユーザーにとってどういう存在かを考えると、メールが古いという視点も見直したくなるでしょう。

メールアドレスは電話番号や住所のように「アドレス的」に扱われるようになりました。何かWebのサービスやSNSのアカウントを作るときにもメールアドレスが求められますし、セキュリティの本人認証の時でさえメールが使われます。

Eメールはむしろユーザーにとってセントラルな存在に着地したのです。

次々と情報が入ってくるSNSのように長時間閲覧したりといった中毒性はありませんが、昔の電話がそうであったように人々がチェックを欠かさないツールの1つになったのです。そうした性質を踏まえても、アドレスにあなたのメッセージを届けることは、マーケティングとしては正しい選択です。

メルマガはWebマーケティングに欠かせない媒体

ここまで見てきたとおり、メルマガの効果を否定することは難しくなりました。

ではなぜ販促効果の高いツールであるにも関わらず、古いと言われてきたのか。それはメルマガで成果が出なかった人、そもそもやったことがない人たちによってイメージで語られてきたからでしょう。

たしかにSNSやブログと違って、「お手軽にできるイメージ」とは程遠いものがあります。なぜなのでしょうか。それはメルマガ=広告だからです。

メルマガはコストをどれだけかけるかを自分で制御する必要があります。例えば、読者を集めるにもブログのようにたくさんの記事を書けばいいわけではない。1記事1記事が「広告」であり、勝負です。集客と配信にかかるコストとを天秤にかけて、どれだけのリターンが得られているのかを確認しなければいけない。その点で他の媒体より少しハードルは高いと言えるかもしれません。

とは言っても、メルマガ自体がパフォーマンスの高い媒体なので、心理的ハードルはたいした問題ではないと考えます。インターネット経由での売上を伸ばそうと思えば、確実に着手しておきたい販促ツールであることは間違いないので、どう取り入れてシナジーを生むかを考えたほうが建設的でしょう。そして、実際にメルマガを運用していく段階に入れば、

“いかにして、濃いメルマガ読者を素早くたくさん集めるか”

このあたりの仕組みを磨いていくことが重要です。

メルマガ読者を集める方法とは?

メルマガは、読者集めが最初の課題です。ブログであれば、検索エンジンやSNS経由で、すぐに記事を読んでもらえますが、メルマガは「メールアドレスの登録」 というステップがまず必要だからです。

ここの仕組み作りにおけるハードルの高さが、メルマガをやる人が少ない理由でもあります。ただ逆に、ライバルが少ないのでチャンスだといえます。

メルマガ読者を集める仕組みは、大きく分けると以下の2パターンです。

  1. オウンドメディアからメルマガ登録に誘導するパターン(無料)
  2. 広告からメルマガ登録に誘導するパターン(有料)

それぞれ、解説していきます。

※ちなみに、メルマガを活用するなら、ネットビジネスの基礎的な仕組みをまず理解しておきましょう。以下の記事で詳しく解説しています。

1. オウンドメディアからメルマガ登録に誘導するパターン(無料)

オウンドメディアやブログ(つまり自己所有サイト)にメルマガ登録の仕組みを用意するパターンです。

無料オファー(PDFレポートや動画講座のダウンロードなど)と引き換えに、メールアドレスを提供してもらう方法ですね。記事下にCTA(コール トゥ アクション)を設置して、無料オファー提供のページ(オプトインページ)に誘導するのが一般的です。

CTAバナーの例

このようなCTAから、以下のような無料オファー提供ページ(オプトインページ)に誘導します。CTAやランディングページを使った読者を増やす仕組みは、基本的なパターンです。自らのブログやSNS経由でランディングページへ誘導すれば、集客にかかる金銭的コストはありません。

ただ、オウンドメディアのアクセスがあまりない状況だと、難しい手段ではあります。特に、新規で立ち上げたオウンドメディアの場合、最初はSEOによる集客も期待できません。

つまり、待っているだけでメルマガ読者が増えないのであれば、広告にお金をかけることも検討した方が良いでしょう。

2. 広告からメルマガ登録に誘導するパターン(有料)

広告を出稿するパターンは、当然お金がかかります。しかし、素早くメルマガ読者を集めるには最適な方法です。それに、お金がかかることを多くの人は嫌がるので、それが参入障壁の高さにもつながっているわけです。ライバルは必然的に少なくなります。

やることは、無料オファー提供用のオプトインページを用意して、広告を出す。これだけです。

あるいは、有料のフロントエンド商品(新規顧客を獲得するための商品)を広告に出してもいいでしょう。この場合は、儲けるために広告を出すのではなく、新規顧客のメールアドレスを獲得するために広告を出す、という意識でやることが重要です。

なぜなら、ネットビジネスは、新規顧客獲得に一番お金を投下できたところが市場を制圧して王者になるという、絶対原則があるからです。

フロントエンド商品の販売で得た売上はすべて再び広告費にまわして、どんどん新規顧客を獲得する。

そうすると、競合が太刀打ちできない絶対的な競争力が手に入ります。いつでもコンタクトが取れる顧客リスト(メールアドレス)を、大量に保有しているわけですから。

そこから、バックエンド商品(利益を出すための商品)の販売につなげることができます。顧客リストがある限り、何度でも販売できますから、LTV(ライフタイムバリュー、顧客生涯価値)も最大化します。

LTVが最大化すれば、新規顧客獲得のための広告費もより多く捻出できるので、どんどん顧客リストが巨大化していく・・・という好循環が生まれるわけです。

おすすめは、無料と有料を両方やること

上でご紹介した、無料と有料の2つの方法は、どちらがより優れている、という話ではありません。どちらも価値があるので、両方やるべきものです。

広告を出して一気にメルマガ読者を集めることはもちろん、オウンドメディアでコンテンツマーケティングを地道に実施して、検索エンジンからのアクセスを集める。

この2つを同時に実行するわけです。

特に、オウンドメディアによるコンテンツマーケティングは、集客までの時間がかかるという弱点はありますが、いったんアクセスが安定的に集まるようになれば、メルマガ登録のオプトインページやフロントエンド商品販売のランディングページへ無料で送客し続けることができます。

そこで利益を得れば、広告費もさらに捻出できるので、新規顧客獲得の流れがどんどん加速します。レバレッジがかかるわけですね。詳しくは以下の記事で解説していますが、これはネットビジネスの王道の勝ちパターンだといえます。

CVR(コンバージョンレート、成約率)の高いオプトインページやランディングページを素早く作るテンプレートとしては、「OOPS!」が最適と筆者は考えています。

トップページ自体がLP仕様となっているため、1つのウェブアプリ、ゲーム、その他サービスを1点集中して宣伝するサイトとして向いています。言わば、特定のサービスの特設サイトを作るようなものです。例えばアプリなら、無料の試用版をメールアドレスを登録した人だけに届けて、メルマガの中でコミュニケーションを取りながらサービスのメリットを打ち出すといった施策がとれます。

広告・LP・メルマガという一連の流れをつくることで、1人あたりの顧客獲得単価を抑える働きがあります。弊社でリリースしているWordPressテーマ「OOPS!」もそのようなマーケティングをサポートするために開発されています。

メルマガを効果的に運用する場合はメルマガ単体で考えるのではなく、その他のメディアや仕組みと掛け合わせることでビジネス全体を最大化させることを考えましょう。