2020年6月時点ではまだβ版ではありますが、GoogleAnalyticsには「アトリビューション」という機能があります。Google公式ヘルプにはこのようにあります。

アトリビューションとは、ユーザーがコンバージョンを達成するまでにたどった経路を確認し、コンバージョンまでに経由した広告やクリックなどのさまざまな要素に貢献度を割り当てることです。アトリビューション モデルとは、コンバージョンに至った広告の貢献度をコンバージョン経路のタッチポイントにどのように割り振るかを決めるルールまたはデータドリブン アルゴリズムのことです。
参考: アトリビューションについて – アナリティクス ヘルプ

分かりやすくいうと、アトリビューションとは、どのような経路で商品が売れているかを計測すること。アトリビューションは「GoogleAnalytics」と「Google広告」を連携して利用する、より広告効果を高めるために使用する機能です。

それではこのアトリビューションモデルでできることを解説しましょう。

現実は複雑な経路を辿って、商品が売れている

アトリビューションモデルの解説前に、インターネットで商品が売れるメカニズムについて触れておきたいと思います。

あなたがインターネットで商品を買う時のことを想像してください。広告を見て即購入することもあるかとは思いますが、普通は色んな情報サイトやECサイトを横断して購入すると思うんです。あるいは、商品に詳しい友人に相談したり、買おうと思っても忙しくて買えなくて1年後に思い出したように買った、なんてこともあるでしょう。

つまり、商品が売れていくメカニズムとして、特にインターネットでは「広告閲覧→購入」という単純な経路で成約(コンバージョン)することは少ないのです。そのため、あなたの商品がどういう経路を辿って売れているのかを知ることは、より効果的な施策を実行するには貴重な情報となるわけです。

本稿ではコンバージョンに至るまでの情報を知れるAnalyticsのアトリビューションについて解説していきます。

アトリビューションモデルが計測できること

Analyticsのアトリビューションで計測できるのは次の3つです(2020年6月現在)。

  1. コンバージョン経路
  2. コンバージョンまでの所要期間
  3. コンバージョン経路の数

コンバージョン経路

コンバージョンの経路
実際にどのような経路を辿って商品が売れているかがわかります。

例えば OrganicSearch→referralの場合(2)、一度目は検索エンジン経由で当サイトに訪れ、2度目のリファラルで購入に至るという購買行動を示しています。リファラルは色々ありますが、この場合おそらくEメールです(弊社は購読者10万人のメルマガを発行しているため)。

コンバージョンまでの所要期間

コンバージョンまでの所要期間
最初の訪問から成約までの期間を成約ごとに確認できます。広告を見て即購入に至っていないことがわかりますね。

コンバージョン経路の数

コンバージョン経路の数
商品購入までのユーザーのタッチポイントの数を確認できます。様々な流入経路を通じて購入に至っているのがわかります。

モデル解説

ここからは専門的な内容を多く含むため、実際にGoogle広告を運用している方向けの話です。Google広告とAnalyticsには6つのアトリビューションモデルがあります。

  • データドリブン
  • ファーストクリック
  • ラストクリック
  • 線形
  • 接点ベース
  • 減衰

図にすると次のようなイメージです。

アトリビューションモデル概要

これは要するに、「どの経路を評価するか」です。例えば「ラストクリック」は購入に至る直前(最後)の流入経路を評価します。あるユーザーが何度も広告を見ていたけど最後は検索エンジン経由で購入した場合、検索エンジン経由の流入を評価すると。それがラストクリックです。

何を見て購入に至ったかの決定的ポイントを割り出すために様々なモデルが用意されているということです。とは言え、購入に至った決定的ポイントなんて、普通はなかなか決められないものです。何度も広告を目にして頭に染み付いていた状態だったから店頭で商品を目にした時に買ったとか、実際は複雑な経路を辿っています。それらの”決定的ポイント”を現実に合わせて分散評価するためのモデルなのです。

GoogleAnalyticsとGoogle広告にはそれぞれ6つのモデルが採用されていますが、運用はまったく別です。広告の方は広告だけで、AnalyticsのAnalyticsだけで運用されます。Analyticsの方は主にデータ解析に使われるのみで実際に何かが変わるというわけではありません。広告の方は広告の露出方法がガラリと変わりますので、売上や利益にも当然直結します。分かりにくいかもしれませんが、使っていると分かれている理由が自然に理解できるようになります。

・ラストクリック以外のアトリビューション モデルに移行して、ビジネスに与える短期的な成果と長期的な成果を見積もりましょう – Google 広告 ヘルプ
https://support.google.com/google-ads/answer/7002713?hl=ja

それでは1つずつ特徴を解説していきましょう。

データドリブン

過去に蓄積したデータから特に成果の高いキーワード、広告を把握し、もっとも購入可能性の高い経路を評価します。コンバージョンに至った過去事例を踏まえながらどこに比重を置くかをフレキシブルに変えていきます。過去データの蓄積がないと使えませんが、長期的に同じ商品を広告で運用するならデータドリブンがもっともおすすめです。

ファーストクリック

コンバージョンに至ったユーザーの一番最初のキーワードや広告をもっとも評価するモデルです。統計としてコンバージョン単価や総広告費が高くなりがちなモデルですが、新商品のプロモーションを派手にやりたいなど、露出を一気に増やしたい時に役立ちます。

ラストクリック

ラストクリックはファーストクリックの逆です。コンバージョンに繋がった最後の経路をもっとも評価するモデルです。Google広告のデフォルト設定でもあります。

Google広告の場合だと、購入につながる決定的な広告やキーワードをより多く露出させることになるので、コンバージョン単価を抑える働きもあります。その分、露出を一気に増やしたい広告主には向かないモデルとも言えます。

線形

線形はどのコンバージョン経路も均等に評価するモデルです。

Google広告の場合、どこにコストを集中するかあえて決めず、広く浅く広告を露出させておきたい時に使えます。ただ、実際の運用面ではコストパフォーマンスが下がる傾向があるため、特別な理由がない限りはおすすめしません。

接点ベース

最初の入口と最後の出口を評価するモデル。ファーストクリックとラストクリックを足して2で割ったようなモデルですね。

減衰

コンバージョン至った直近の経路ほど評価するモデル。減衰はラストクリックに近いですが、違いはラストクリック以前の経路も評価する点です。

商品・サービスによっては長期間かけて購入に至るものもあります。自動車や家などの高額商品がそうでしょう。そうした場合は経路が複雑かつ、多岐にわたるため、決定的に購入につながるポイントに近いところの範囲を少し広げて評価する必要があります。

つまり、Google広告で高額商品を広告に掲載する場合、この減衰モデルは使える可能性があります。

モデル比較でそれぞれの施策を見える化する

先ほど解説した6つのモデルを理解することは、よりおもしろいデータを知る手がかりになります。Analyticsの「アトリビューション」内で「モデル比較」という機能があります。そこで各モデルを比較することで、あなたのマーケティング施策の有効・無効がデータで明確になります。

どのようなことが分かるかと言うと、例えば、最終的に購入の決定ポイントとなっているメディア、入口となっているメディアの傾向など分かります。

例えば、「ラストクリック」と「ファーストクリック」のモデルを比較してみましょう。
アトリビューションモデル比較
Referralが58→38に減っているのがわかりますね。一方で検索エンジン26→35、有料広告14→25に増えている。これはつまり最終的に購入へ貢献しているのはReferral、入口となっているのはOrganicSearchとPaidSearchであることを示しています。おもしろくないですか?

先に述べたようにラストクリックはコンバージョンに結びついた地点を評価、ファーストクリックは最初の入口を評価するモデルです。なので、これらのモデルの特徴を踏まえて比較していくと、顧客の購買行動をデータとして把握することができるわけです。つまり、自分たちがやっているマーケティング施策で無駄なもの、有効なものを浮き彫りにするのです。

あなたのサービスはどんな数値になるでしょうか。ぜひお試しください。

アトリビューション機能を使うには?

使い方は簡単です。まずはAnalyticsとGoogle広告を連携します。連携方法は下記記事をご覧ください。

連携完了したら、Analytics管理画面左下の「アトリビューション」のところをクリックするだけです。この2つの手順をクリアするだけで利用開始できます。。なお、Google広告を運用中の方に向けた記事なので、AnalyticsのトラッキングコードやユニバーサルタグがWebサイト側に入っていることを前提としてます。

まとめ

以上でアトリビューションの解説は終了です。

本当はアトリビューション機能の具体的な使い方・操作解説も盛り込みたかったのですが、それをすると長くなるので概要のみをお伝えしました。この機能を知っておくと、GoogleAnalyticsとGoogle広告の運用の幅がグッと広がりますので、ぜひあなたも試してみてください。