「リライト」といえば、コンテンツを作る時、外部ライターに記事の執筆依頼をする時など、よく耳にする単語ではないでしょうか。少し前にアフィリエイト界隈でブラックハットSEO(※)が流行していた頃から、よく聞くようになった単語であると思います。この記事では「リライト」は悪ということを言いたいのではありません。キュレーション(※)サイトの流行もありましたが、情報が溢れている世の中でユーザーのニーズに合わせた記事を提供する為には、引用を用いたり、考えを取り入れたり、まとめたりすることには意味あって、世間にも求められていることだと考えます。

読者の利益の為、引用元に敬意をもった上で、独自の視点で分かりやすくまとめるということであれば、それはとても価値があることだということです。

ブラックハットSEOとは、 Googleが定めるガイドラインに反し、 アルゴリズムの穴を突いて不正に検索順位を上昇させるための手法を指します。
参考:ウェブマスター向けガイドライン(品質に関するガイドライン) – Search Console ヘルプ

キュレーションとは、インターネット上の情報を収集しまとめること。または収集した情報を分類し、つなぎ合わせて新しい価値を持たせて共有することを言う。キュレーションを行う人はキュレーターと呼ばれる。
参考:キュレーション – コトバンク

とにかく数を求められていた時代

ブラックハットSEOが流行っていた当時は、被リンク数が多いと良いらしいということで、とにかく記事数を増やそう、サテライトページを増やそうというSEO施策が流行していました。検索順位を上げる為、収入を上げる為には、その「作業効率」が求められます。短い時間でたくさんの記事を作ろうと考えると。良い感じの記事をコピペしたらいいのでは?と思いつくわけです。そこで、誰かが書いた記事をまるっとパクるとバレバレなので語尾を変えたり、言葉の順序を変えようと思うわけです。でも、それでもやっぱりバレるので(笑)バレない程度にパクるやり方が確立されていった。それが今のウェブライターが使っている。いわゆる「リライト」という記事を効率よく書く手法の元となっているのではと感じます。

「リライト」が前提の記事作り

最近の「リライト」は1人の人が書いた記事をそのままパクるのではありません、複数の他人が書いた記事を繋げて、それを良い感じにまとめて、1つの記事にします。1つの記事だけをパクるとバレるけど、3~5つくらいの記事をミックスさせるとバレにくいというわけですね。それで大体の文字数は稼げるので、語尾とかを調整して自分の記事のように仕上げます。自分の実践に基づいた考察ではなく、あくまでも他人の実践結果から想像で書くという風に記事が出来上がります。

例えば、旅行系のキュレーションサイトだと、執筆者はその観光地に行っていないけど記事が書ける。といった感じになります。実践せず、考察せずして、他人が書いた記事をパッチワーク化して、あとは想像で埋める。これがあらゆる業界で跋扈しているのです。

「リライト」の連鎖がウェブメディアの質を低下させる

こうやって作られた「リライト記事」をまた複数集めて「リライト記事」が作られるという感じで、その連鎖がどこまでも続いているのが現状ではないでしょうか。このようなことになった背景は、ウェブライターの質が低いということも要因ではありますが、メディア側もそれを求めている。というのも大きな要因としてあります。発注側のこんなもんでいいか。という熱量がライター側に、「努力しなくてもいいんだ」と思わせてしまっているし、ライターもそこに甘んじている。そもそもライターがなぜそんなダメな仕事しかできないかというと、彼らが時間の切り売り感覚で仕事しているからですね。記事単価は1記事100円とか1000字1000円とか色々ありますが、ライターは条件だけで仕事を選ぶ傾向が強い。自分がどの分野に強く、どういう記事が書きたいか。そういう基準が受注に至る判断の中で無いのでお金がもらえる文字群を産み出していくことになる。仕事する決め手は唯一、条件のみ。そんな時間の切り売り感覚でやっているライターをクリエイターといえるでしょうか。初めからラクをする気満々な精神状態でうまくいくわけがないんです。メディアとライターのお互いがそれぞれの視点で最も見なくてはいけない読者のことを考えていない状態では良いコンテンツが産まれるわけがありません。

納得のいく記事を書きたいのかお金の為だけに書くのか

コピペにちょっと手を加えた記事でお金を貰えたりすると、意外と楽にお小遣い稼ぎできたな。という経験から、書いた本人はこう思うわけです。

「あ、パクりまくっても稼げるんだ」
「あ、テキトーにやってもいけるんだ」
「あ、サボっていてもいけるんだ」

最初は数万円の少額から横領を始めて、最後は何十億の横領で捕まる銀行員の心境にちょうど似ているかもしれませんが、それはもちろん、長く続きません。TCDサイトの記事も一部外部ライターに依頼をさせていただきますが、ココだけの話、いいライターを見つけることはとても難しいことだと感じています。

最近では、クラウドソーシングが活発になったこともあり、ちょっと型を覚えたくらいでライターと名乗っている人も多い。ページビュー至上主義が産み出してしまった弊害か、そんなライターが書いた記事で読者が意図する行動を起こしてくれるでしょうか。深みがある専門知識があるわけでもなく、創意工夫もない記事を量産することでは誰も幸せになれないでしょう。

私見ではありますが、優秀なライターとパクリライターの違いは閲覧者の行動率と再来訪率に違いがあると思います。パクリ手法で構築されたコンテンツでは、ユーザーに行動を起こしてもらうこともできず、記事もどこかのメディアで書いてあるような内容となるので、ファンを獲得したり、再来訪も望むことが難しくなります。もちろん読者の満足度も必然的に低くなるでしょう。

これから求められるウェブライター

あなたがもし、記事制作を依頼されて「リライト」が必要な状況になったのなら、ユーザーの知りたいこと、悩み、ニーズをしっかりとくみとって、まとめ上げること。そこに自身の知見を加えることで、新しい価値を持たせて共有することを忘れないでください。あなたにしか提供できない価値が付加された記事を作り続けること。読者の満足度の向上とファンになって再訪したくなるような記事を書き上げることに注力する。ということが、ライターとして成功する可能性を高める選択であるという事を忘れてはいけません。

TCDでは共感いただけるウェブライターを募集しています。
応募はコチラから